クレスコの第二金融ソリューション事業部に所属する金 祉潤(キム ジユン)は、日本が大好きで日本の会社に就職を決めました。言葉の壁を乗り越え、コミュニケーションに自信を深めた金は、後輩のために“韓国人会”を発足。そんな金が、クレスコでの仕事の醍醐味や、異国で働くことに対する思いについて語ります。

エンドユーザー視点で設計・開発する──顧客訪問は貴重な機会

▲第二金融ソリューション事業部 システムエンジニア 金 祉潤

 

金は、2018年にクレスコに新卒で入社しました。所属する第二金融ソリューション事業部は、生命保険など、金融業界向けの案件を中心に担当している部門です。

金 「私は大手証券会社様が使用するシステムの、OS全体の設計を定期的に更新する案件に携わっていて、扱っているのはWindows10です。

 

Windows10は、年に数回更新プログラムが提供されるので、営業部門やIT部門の社員の方々が使うPCの更新を支援しています。チームのメンバーは8人で、クレスコだけでなく、お客様、ビジネスパートナー企業の方も混じったチームです」

お客様のIT部門から出る要望を実現するのが金たちの仕事。要望に基づき、チームで設計を行い、開発とテストを行う、というのが作業の流れです。

金 「既に使っているシステムやプログラムを改善したいというご要望が多いですね。Windows10のOSに含まれているブラウザや、Office製品などの改善要望がほとんどです」

長年WindowsOSに標準装備されてきたインターネットエクスプローラー(IE)が、2022年6月にサポート終了となるため、今はいわば節目の時期です。

金 「今は、IEから、Microsoft Edgeに移行するための作業が多いです。お客様はIEに慣れているので、Microsoft Edgeに合わせた設計をしなければなりません。私は、その検証作業をメインとして担当しています」

ブラウザが変わっても、できるだけ“今まで通り”に作業できるように、金はエンドユーザー(実際にシステムを利用するユーザー)の視点を持って、移行を進めることを意識していると言います。

金 「普段PCの設計や開発をしていない方々に向けて、どういう風に説明をすればきちんと伝わるのか、試行錯誤を続けています。

 

この案件では、実際にシステムを使うのは営業部門の方なので、営業支社を訪問して、直接システムについて説明したり、問い合わせに対応したこともあります。実際に作業している様子を確認できる機会はほとんどないので、貴重な機会でした」

和やかで話しやすい雰囲気のクレスコに、“ユニーク採用”で入社

▲大学院在学時代に、他の留学生と交流する金(写真右から2番目)

 

金は大学まで韓国で過ごし、日本の大学院で勉強するために来日しました。

金 「私は、韓国に住んでいるころからよく日本に旅行していました。日本の雰囲気や食べ物が大好きになり、将来日本に住んでみたいと思うようになったんです」

大学では、海洋生物を研究した金。大学院では、海洋資源の管理や利用政策について学ぶため、海洋管理政策学を専攻し、国家間の漁獲量を決定する手法について研究していました。

 

研究を通してデータ分析を学んだことをきっかけに、“データサイエンティストになりたい”と思うようになった金。就職活動は、IT業界に絞って活動しました。最初は、帰国して、韓国で働こうと考えていましたが、日本企業に抱いていたイメージとのギャップを実感し、日本で働くことに決めました。

金 「日本の企業は堅いイメージがあったのですが、何回か会社説明会に参加して、そうではないことがわかりました。『せっかく日本で勉強しているのだから、働いてみないともったいない』と考え、日本で就職することを決めました。

 

クレスコは、先輩社員が優しく、社内の雰囲気がとても和やかだったので、“素敵だな”という印象でした。クレスコの会社説明会は、ほかの企業よりも時間が少し長かった記憶があります。その分、クレスコの雰囲気をきちんと知ることができたのかもしれません」

金がクレスコに応募した決め手の1つに、クレスコ独自の採用枠である“ユニーク採用”があります。ユニーク採用は、スポーツ部門、IT部門、ユニーク部門の中で、「これだけは負けない」という実績や経験のある人がチャレンジできる採用枠です。金は留学経験をアピールすべく、ユニーク部門で応募しました。 

金 「ユニーク採用は、書類選考とプレゼンテーション選考だけ。プレゼンをする相手は、クレスコの社長と役員です。日本に来た理由、日本で勉強した内容と学校生活、どんな仕事をしたいかについてプレゼンしました。

 

就職活動において、プレゼンをすることはほぼなく、聞き手も会社トップと役員。プレゼン前はただただ緊張していましたが、実際やってみると、すごく話しやすかった記憶があります」

役員が話しやすい雰囲気ということは、他の社員はもっと話しやすいのではないか、と考え、金はクレスコに入社することを決めました。

努力で乗り越えた壁。その先で出会った、コミュニケーションの楽しさ

▲母国・韓国での採用活動に同行し、学生に就職活動や業務の経験を説明する金

 

2018年、クレスコに入社し、システムエンジニア(SE)としてキャリアをスタートさせた金。最初にぶつかったのが、“知識の差による言語の壁”でした。 

金 「SEは技術が中心の仕事だと思っていましたが、実際はコミュニケーションが非常に多く、正直なところ、ギャップを感じました。

 

今の案件でも、まずはお客様の要望を聞き出すことから始まりますが、たくさん話す機会を取らないと、お客様のイメージに近づくことができません。トラブルが起きたときに、原因や対策を説明するためのコミュニケーションもあります。

 

自分では理解していることでも、どんな言葉で、どんな風に説明すればいいかがわかりませんでした。日本語と韓国語の言語の壁というよりは、ITに詳しい人と、そうでない人の前提知識の差による言語の壁、と言った方が良いかもしれません。

 

ニュアンスを正確に伝えるのは難しいですよね。そこで、文章を書く、絵に描いてみるなど、いろいろな手段を使って必死に説明しました」

壁を乗り越えるために努力を継続した金は、入社1年目に参加した案件で、忘れられない経験をしました。

金 「週3〜4回くらい会議があり、私は議事録作成を担当していました。案件特有の用語も多く、私自身が作成した議事録なのに、自信が持てなかったんです。そこで、ほかの人にたくさん相談して、添削してもらったり、自分でもチェックリストや用語集を作ったりと、必死に勉強しました。

 

そうしていたら、案件の終わりに、顧客企業の本部長から『いつも議事録を提出してくれてありがとう』と感謝のメールをいただいて。努力が報われた気がして、本当に嬉しかったです」

そんな金は、今ではコミュニケーションを“楽しい”と感じています。

金 「コミュニケーションの楽しさを実感しています。最初は少なからず壁を感じていましたが、それを越えて、自分の意見を、自信を持って発言できるようになってきました。相手とのやり取りが楽しいと思えるまでになりました。

 

視野が広がり、伝える力が身に付いたという意味では、『日本で働いている』という環境も大きいと思います」

同期と、母国の後輩と、お客様と……いろんな人と対話を深める

▲AWS勉強会のメンバーと一緒に(金は写真中央)

 

金のモチベーションの源は、同期入社の仲間だといいます。 

金 「社内のニュースで同期の活躍が紹介されていると、モチベーションが上がり、私も頑張ろうという気持ちになります。疲れたときにストレスを発散するのも、同期とのお喋りです。」

資格取得に向けても、仲間と一緒に勉強しています。

金 「部署で取得を推奨されている、AWS(アマゾンウェブサービス)の資格取得に向けて準備をしています。部署問わず、同じ資格を取ろうとしている同期や先輩・後輩が集まり、一緒に問題を解く会もあるんですよ」

そんな金が感じているクレスコの魅力は、“人の良さ”です。

金 「クレスコには、本当に良い人がたくさんいるんです。相談できる人がすぐそばにいるのは、最高にありがたいこと。業務に関してはチームのマネジャーや先輩に相談し、業務以外で悩んでいることがあれば、SECという部署のリーダーや先輩に、よく相談していました」

SECとは、入社後3年間配属される、“システムズエンジニアリングセンター”という部署の略称。3年間で複数のシステム開発案件をローテーションで経験できることが特徴です。

金 「クレスコは、様々な業界のシステムを開発しています。SECのローテーションで複数の業界の案件を経験している同期も多いです。色んなこと、新しいことを経験したい人には特におすすめです」

業務外の活動として、金は2020年に、社内の“韓国人会”をつくりました。クレスコは韓国採用を行っており、留学せずに韓国の大学を卒業して入社した社員や、入社予定の内定者たちと交流する会が、韓国人会です。

金 「2020年度に入社した5名の社員が内定者だったころは、就職活動当時の話や、日本で働いている体験などを伝えました。5人が入社後も、新人研修の感想や、今後やりたいことなどをヒアリングしています。来年入社予定の内定者とも交流しており、『これからもっと輪が広がればいいな』と思っています」

国籍関係なく、コミュニケーションを取りながら仕事に取り組むことができるクレスコで、金が今目指すのは、ITコンサルタントです。

金 「議事録を担当した1年目の案件で、お客様の要望を実現するために、当時としては珍しい技術を使ってみようと提案したのが楽しかったんです。ITコンサルタントとして、お客様の問題解決に役立つ提案ができる人になりたいです」

金はこれからも、コミュニケーションを大切にしながら、ITコンサルタントを目指してステップアップすべく、貪欲に、しなやかに、ITの大海を泳いでいきます。

 

※ 記載内容は2021年9月時点のものです