クレスコの第二エンベデッドソリューション事業部で、PM(プロジェクトマネジャー)として活躍する宮津 尚樹。2008年の入社以降、主にスマートフォンの組込みシステムの開発に携わり、“モノづくり”の夢を実現してきました。宮津がクレスコを選んだ理由や、仕事へのスタンスなどについて語ります。

組込み系システム部署のPMとして、50名のメンバーを率いる

▲2018年に宮津が所属していた部署では、キッチンスタジオで部署ミーティングと懇親会を行ったことも。この日宮津は料理長を担当した(宮津は右奥左から4人目)

 

クレスコの第二エンベデッドソリューション事業部は、大手総合電機メーカー向けに、デジタルテレビなど、主に家電製品に組込まれるソフトを開発したり、研究開発を実施している部門です。

 

その中で、宮津 尚樹は、スマートフォン開発のPMを務めています。

宮津 「私の担当する案件では、発売前の新しい機種のスマートフォンに組込まれる、カメラやディスプレイ表示、充電、セキュリティなど、製品のコアとなる機能を開発するのが主で、OSをアップデートするタイミングで、既に販売している機種に機能を追加することもあります」

開発メンバーには、品川本社だけでなく、札幌事業所の社員もいるため、日々、連携しながら業務を行っています。

宮津 「私が携わっている案件のメンバーは、東京と北海道で、合計90名ほどいます。その中でいくつかのチームに分かれているのですが、私は5~6つのチームの約50名を見ています。

 

2022年現在は、出社しているメンバーと在宅勤務のメンバーが約半数ずつですが、コロナ禍以前から北海道とリモートでやり取りしていたため、スムーズに在宅勤務へ移行できましたね」

各チームにはPL(プロジェクトリーダー)がおり、PMの宮津が直接コミュニケーションを取るのは、各チームのPLが中心。業務の進捗管理や各チームメンバーの状況把握など、情報共有の内容は多岐にわたります。

宮津 「基本的には各チームのPLと週1回程度打ち合わせを行い、状況を確認しています。その中で技術的な課題やプロセスにおける課題があれば、一緒に解決していきます。他には、お客様の窓口の方と今後の見通しについて話したり、業務を遂行するにあたって、メンバーが作業しやすい環境をつくるための改善活動も行っています」

そんな宮津がコミュニケーションを取る上で大事にしていることは、「考える機会を提供すること」です。

宮津 「見ているメンバーの数が多いので、各チームに主体的に進めてもらうことが必要です。主体的に行動するには、課題に対して『どうしたらいいか』を考えることが重要。なので、直接アドバイスするのではなく、まずは相手の考えを聞くことで、考える機会をつくるように意識しています」

モノづくりに携わる夢の実現に選んだのは、課題をオープンにする会社

▲実際の会議でも、立場関係なくフラットに意見を発信している(宮津は写真右奥)

 

2008年に、クレスコに新卒入社した宮津。大学では工学部に所属していました。

宮津 「モノづくりをしたいという想いから、工学部へ入りました。就職活動においても、『モノづくりをしたい、つくるのであれば、一般消費者が使う“民生品”をつくりたい』と考えていました。そして当時、一番身近なモノだと感じていた、携帯電話をつくる企業への就職を目指しました」

就職活動を進める中で他社からも内定を得ていた宮津が、最終的にクレスコへの入社を決めたのは、会社説明会で感じた印象だったと、当時を振り返ります。

宮津 「他の会社は、自分たちの魅力や強みなどの話が多い中、逆に“何が弱いか”という課題をもとに、『今後こういうことをやっていきたい』といったところまで説明があったのはクレスコだけだったんです。

 

100%満足できる会社はないと考えていた中で、すごいところだけをアピールされて、入社してからダメな部分に気づくより、先に会社が抱える課題を聞いていた方が、入社後のギャップが少ないと感じました」

さらにもう一点、宮津にとって魅力となる部分がクレスコにあったといいます。

宮津 「会社説明会に参加する前に『スーツで来なくても大丈夫、ラフな格好で来てください』と言われたんです。私はあまりきっちりとした感じが得意ではないので(笑)、そんな雰囲気なら仕事もやりやすそうだと感じました。風通しが良く、フランクな空気感に惹かれましたね」

入社後は、エンベデッドソリューション事業部(後に組織改編で第一~第三エンベデッドソリューション事業部に分割)に配属され、念願だった携帯電話の開発に携わることになりました。最初に担当したのは、フィーチャーフォンのオーディオ機能のテストです。

宮津 「大学でITを学んでいたとはいえ、実際の製品となるとソースコードが長く、こんなにたくさんのコードを全部自分で読めるのか、当時は自信がなかったですね。

 

それに“テスト”と一言でいっても、実際には不具合の解析や修正作業など、幅広い作業が発生します。不具合の原因を検証するための不具合の再現や、再現させられない場合の対策など、当時は苦労しました。

 

それでも、先輩のサポートを受けながら自分で実践することで、徐々に技術を習得していきました」

手探りで立ち上げたニアショア開発が、事業所の発展につながった

▲東京のメンバー数人で、複数回札幌事業所に出張した。この日のランチは札幌名物スープカレー(宮津は写真奥左側)

 

宮津のキャリアの中でも大きな出来事は、2018年に、札幌事業所のメンバーとのニアショア開発(開発業務を、国内の別の地方など比較的近距離の遠隔地にある企業や事業所に委託すること)をスタートさせたことでした。

宮津 「当時私はPLだったのですが、上司からある日『ニアショア開発をやるぞ、札幌からメンバーが来るぞ』と言われました(笑)」

クレスコとしては、ニアショア開発自体はそれ以前から実施していましたが、組込みシステムでのニアショア開発は初めて。札幌事業所のメンバーに、組込みシステム開発経験者はいませんでした。

宮津 「最初は技術習得のために、札幌事業所のメンバー3名が東京に出張し、数カ月かけて技術を習得してもらいました。ただ、私は組込みシステム開発の経験がないメンバーに対する育成経験があまりなかったので、最初は戸惑いましたね」

模索した結果、宮津がたどり着いた結果が、“個別指導”でした。

宮津 「それまで、勉強会という形で、複数人に同じことを一気に教えた経験はあったのですが、理解度や理解のスピードは人によって異なるので、『それぞれに合った教え方をしたほうが良いのでは』と感じました。

 

勉強会も継続しながら、勉強会の中でわからなかった点をヒアリングしたり、週1~2回、1~2時間をフォローの時間にあてるようにしました。個別指導のあるなしで、最終的な理解度が全然違うと感じましたね。ただ何よりも、メンバーがひたむきに取り組んでくれたのが、大きかったと思います」

宮津の工夫やメンバーの努力の甲斐あって、札幌メンバーの組込みシステム開発技術は向上し、ニアショア開発の立ち上げは成功。

 

また、宮津が教えたメンバーが札幌に戻った後に、札幌の他のメンバーに技術を伝達することで、札幌事業所内で組込みシステム開発ができるメンバーが増え、キャリア採用を実施するまでに、札幌事業所の技術領域を拡大させることができました。

 

現在、宮津のいる案件には、当初参画した人数の約10倍、30名ほどの札幌のメンバーが携わっています。

フラットかつオープンで、主体性を持って行動する組織を目指して

▲コミュニケーションや育成に関しては、他チームのPMやPLとも意見交換を行っている(宮津は写真中央)

 

クレスコに入社して15年ほど経った宮津ですが、一番やりがいを感じる瞬間は、宮津の原点──つくったものが世の中に放たれたそのときだと言います。

宮津 「自分が開発に関わったスマートフォンが世の中に発売された瞬間が、一番達成感を感じるときです。それを経験したくて、組込みシステム開発をやっているといっても過言ではありません。開発した端末が家電量販店に並んでいるところや、電車とかで端末を使っている人を見ると、嬉しいですね」

学生時代からの夢を叶えた宮津ですが、業務に励む中で新たに得た財産もあります。それは“人との繋がり”です。

宮津 「技術は、自分一人でも、業務を通じて習得していけるものだと考えています。一方で、人間関係やコミュニケーションは、相手がいて初めて成り立つものです。これまでに、上司や先輩、お客様など、いろんな人とコミュニケーションを取ってきた結果、今の私があると思っています」

他にも、宮津がコミュニケーションを大切にする理由があるといいます。

宮津 「メンバー全員に、楽しく仕事をしてほしいと思っています。私自身、ワイワイした雰囲気が好きなので、できるだけ明るい雰囲気で、自由に働けるようにしたいと考えています。前のPMがまさにそういう先輩だったんです。難解な課題であっても、おもしろく、わかりやすく伝えて、浸透させるのが得意な人でした」

自身の理想のあり方を明確に持つと同時に、宮津は「チームとしても目指しているビジョンがある」と前を見据えます。

宮津 「案件に携わる人数は、今後も増えていく見通しです。人数が増えるほど、私が見れない範囲が増えていくので、特定の人に負担が偏ることがないように、技術もビジネススキルも、日々向上させていくことが必要だと考えています。

 

そのために、しっかりとチームビルディングをして、主体性を持って考えるチームをつくることを強化していきたいですね。その源泉もコミュニケーションだと考えていますので、今後入社・参画いただく方にも、コミュニケーションを意識して欲しいです」

“モノづくり”に憧れ、この世界に足を踏み入れた宮津。今では、モノだけでなく、人材育成やコミュニケーションにまで幅を広げてきました。これからも宮津は自身が描く理想の実現を目指して、たゆまぬ努力を重ねていきます。

 

※ 記載内容は2022年2月時点のものです