先端技術事業部のAIテクノロジーセンターに所属する山﨑 守は、クレスコに中途入社して5年目。入社時点でAI未経験だったと言う彼が、なぜAIに携わるようになり、どんなふうに向き合っていったのか。キャリアの変化、そして“おもしろさ”がキーワードの彼自身の軸をひもときます。

AI、データ分析……。複数案件を担当する中で、“おもしろさ”を大事にする

▲先端技術事業部 AIテクノロジーセンター 山﨑 守

 

2023年1月現在、山﨑は先端技術事業部のAIテクノロジーセンターに在籍しています。部署のミッションは大きくふたつ。ひとつはお客様の要望に合わせたAIのサービスを提供すること。もうひとつは、AIに関する新しいビジネスの創出やソリューションを拡大することです。

山﨑 「現状は、お客様からの要望やニーズに対して、『クレスコがもっている技術ならこんなことができますよ』とクレスコが回答するという流れが多いです。今後は、クレスコ側がお客様の潜在ニーズを引き出すような、お客様をリードするようなアプローチを、部署として増やしていこうとしています」

そんな中、山﨑は3つの案件を担当しています。

山﨑 「1つ目は、当社が今後AIを使ったサービスを展開していく上で、ベースとなる基盤をつくる15名ほどの規模の案件です。私は実際にプログラミングを行うチームに所属しています。

 

2つ目は自動車業界のお客様向けの案件です。お客様のサービスをより良いものにするための、画像処理AIを用いたシステム導入に向けた検証を行っています。画像処理AIのプログラムが『本当にお客様の要望に合った使い方ができるのか』という観点で検証しています。

 

最後はメーカーのお客様向けの案件で、消費者にとってより有用なサービスを開発するために、消費者の生活行動を調査・分析するものです。私は分析で活用できるデータの種類や、分析に最適なプログラムを調査しています」

複数の業務に携わる山﨑が大切にしていることは、“おもしろさ”だと言います。

山﨑 「仕事をする中でおもしろいと思えるものがないと、つまらないじゃないですか。もちろん会社員なので、自分が携わる案件を自分で100%選べる、ということはなく、自分にとっては未知の案件に携わることもあります。そういうときは、自分にとってのおもしろみや、興味のある部分を見つけるようにしていますね」

知らないからこそおもしろい──クレスコとAIとの出会い

▲障がい者向けIT支援技術の展示会を見に、アメリカを訪れたときの一枚

 

2018年にクレスコに中途入社してからずっとAIに関わる業務に携わっている山﨑ですが、もともとは未経験の分野でした。AIへの興味が具体的になったのは、クレスコがきっかけだったと振り返ります。

山﨑 「それまでは、AIのイメージは『新しい技術でおもしろそう』という漠然としたものでした。クレスコの採用面接で当時のAI部門の方とお会いし、業務を紹介してもらったときに、明確におもしろそうだと感じたんです。入社後、その部門に配属してもらえたことはラッキーだったと思います。

 

未経験の分野を“怖い”と思う人もいると思いますが、私はむしろ『知らないからこそおもしろそう』と考えていました」

学生時代は工学部で生体情報工学を学んだ山﨑。クレスコに出会う以前にもさまざまな仕事を経験してきました。

山﨑 「新卒で入社した企業では、販売前のソフトウェアをターゲットとなるお客様に使っていただいて、そのフィードバックを開発チームに共有する、一般的にはプリセールスと呼ばれる仕事をしていました。その後の会社では情報システム部門を担当したり、すごく小さい企業でWebページ開発をしたり。

 

大学で学術支援専門職員として仕事をしていたこともあります。学校で使う教科書を電子化して、紙の本を使いづらい方がiPadやパソコンで読めるようにするなど、障がいのある方に対して、IT技術でどんなサポートができるかの研究の支援をしていました」

そんな多様な社会人経験を積んできた山﨑は、クレスコに入社したときの印象をこう振り返ります。

山﨑 「企業に入社するのが久しぶりだったので、『ドラマで見るような、スーツを着た人がいっぱいいる、普通の会社だ!』という感覚を持ちました(笑)。

 

やがて通年服装自由化になったり、新型コロナウイルス感染症が流行してからは早い段階で在宅勤務を選択可能になったりと、いろんな施策が早く進む会社だとも思いました。決断が早く、時代にスピーディーに順応してくれるところは、働いている側として素直にありがたいです」

既存のアイデアをアップデートし、特許出願。AIの“思いがけない結果”がおもしろい

▲2023年1月現在はほとんど在宅勤務で、出社頻度は月に2回ほど

 

クレスコに入社した山﨑は、現在の部署の前身である当時のAI部門に配属され、AIのPoC(※)案件やWebサービスの構築などの案件を担当。その後“技術研究所”に異動し、大学との共同研究に1年半ほど携わりました。そして、“AIテクノロジーセンター”と名前が変わった、それまでの部署に戻り、いまに至ります。
※PoC:試作の前段階で行われる、新しい概念や理論などが実現可能かを示すための簡易的な実証

 

技術研究所時代には、取り組んでいたAI画像処理関連の研究で、先輩のアイデアに自分のアイデアを組み込み、特許を出願したこともありました。

山﨑 「歯医者さんでレントゲンを撮った経験のある方は多いと思いますが、先輩方が、そのレントゲン画像から歯がどこにあるのかをAIで認識させる技術の研究をしていたんです。歯がどこにあるのかがわかれば、患者さんの個々の歯の記録をカルテに記入しやすくなったり、記録ミスを防いだりすることができます。

 

それにさらにプラスして、AIに学習させるデータを少し工夫し、歯のかたちも認識できないか試してみたんです。歯の形がわかれば、個々の歯を拡大表示させることができ、医師も患者さんも歯の状況を把握しやすくなります。

 

するとそれがいい感じにできて、『これは珍しい技術なのでは』と、先輩と自分のアイデアを合わせた技術で特許を出願。とてもおもしろい経験になりました」

入社を機に取り組み始めたAI分野に対して、山﨑は自分なりに楽しみを見つけながら精力的に仕事に向き合っています。

山﨑 「AIは人間が用意したデータをもとに、中でたくさん計算しているだけなのですが、それでも人間にとって思いがけない結果が出てきたりします。なので、『こんなことできないのでは?』と思うことでも、やってみたらできることもあります。そういうところがすごくおもしろいですね。

 

私は主に画像処理のAIに携わってきましたが、他にもいろんな画像処理のAIがあります。自分が思いつかないようなアイデアから生まれたAIを見て、『そうか、こういうアイデアがあったか』と悔しい想いをすることもあります(笑)」

そんな山﨑がクレスコに入社して5年。コロナ禍を経て働き方が大きく変わる中、後輩も続々と増えています。

山﨑 「最近は遠隔コミュニケーションが中心になりましたが、若手の方から先輩に声をかけるのはなかなか勇気がいることなんじゃないかと思うんです。私が社会人になったときも、『いま質問しても大丈夫かな』と思うことがよくありました。在宅勤務など直接コミュニケーションができない環境だと、その傾向がさらに強くなっているのではないかと考えています。

 

なので同じチームの方とは毎日朝のあいさつとして一声かけ合うとか、声をかけられたときは、聞いてくれたことにまず感謝するとか、『話しかけていいんだ』と思ってもらえる雰囲気を出すようにしているつもりです。私もそうしてもらえたら嬉しいですし」

技術で超高齢社会の先を行く──“おもしろさ”を軸に学び、成長を続ける

▲「いろんな人の意見を採り入れたシステムがつくれると良いのでは」と山﨑は話す

 

山﨑は今後、福祉関連の案件に挑戦したいと話します。

山﨑 「AIもそうでしたが、私は新しいものが好きなので、今後も新しい技術にはなるべく貪欲に取り組んでいきたいです。また、私自身が障がいを持っていることもあり、身につけた技術を福祉サービスにつなげることにも挑戦したいと考えています」

日本は、世界的にも高齢者の割合が多い、超高齢社会の国。いろいろな問題が懸念されていますが、だからこそ先を行けるのでは、と山﨑は続けます。

山﨑 「ほかの国も、いずれ高齢化が進んでいくのではと考えています。そうなったときに、日本で生まれた福祉サービスが、グローバルで活用されうるものになるんじゃないかと思うんです。

 

私も年をとりますし(笑)。おじいさんになったときに、今よりもっと自分の意思や決定権をもった生き方ができるようなサービスがつくれたらと思っています」

そんな山﨑は、今後も“おもしろさ”を大事にしていきたいと言います。

山﨑 「私と同様、『これおもしろそう』って、興味をもって取り組んでくれる人と仕事ができればもっとおもしろくなると思います。

 

ただ、おもしろそうな、やりたいと思える仕事を具体的にイメージするのって、実際にやってみないとわからないことが多いと思うんです。私も新卒のころ、具体的にやりたいことのイメージはなかったから。なので私のように、仕事の中で見つけていくのもすごく良いと思います。何かしら自分なりの興味をもって取り組めるほうがきっと楽しいはずですから」

またクレスコの特徴については、次のように続けます。

山﨑 「入社当時印象的だったのが、社内の勉強会がすごく活発に行われていることでした。入社したとき、AIの知識はまったくなかったのですが、勉強会に参加してみたらすごく楽しかったんです。

 

私がこれまでいた企業や組織では、こんなに活発に勉強会が行われているところはありませんでした。みんなが技術に自主的に向き合っていて、新しい技術に対して貪欲な人が多いように感じました」

学び続けられる環境で、おもしろさを見つけ出し、成長していく。そんな山﨑の未来もまた、おもしろいものになることでしょう。

 

※ 記載内容は2023年1月時点のものです