2009年にクレスコにキャリア入社して以来、開発リーダー、技術研究所、営業など、さまざまな立場でお客様と技術に向き合ってきた江澤 美保。現在はAIの専門家として、社外でも多数の講演をこなしています。そんな江澤が、どのようにして技術を身につけ、どのような考えで業務に向き合ってきたのかを語ります。

AIを軸に、社内外で多岐にわたって活動

▲DXビジネス統括部 テクノロジーソリューションコンサルティング AIサービスエバンジェリスト 江澤 美保

 

クレスコのAIサービスエバンジェリストである江澤は、プリセールス、提案、開発など、AIを軸に多岐にわたって活動しています。

「一口にAIと言っても、自然言語や画像、音声認識、自動運転など、いくつもの分野があります。当社にはどの分野に強い社員がどれくらいいるのかを把握して、クレスコとしてどんなことができるかをお客様にご提案しています。

 

また、AIのビジネス活用に関するセミナー講師も担当しています。『AIには、何ができて何ができないのか』を把握できれば、お客様にとって本当に最適なAIシステムが見えてくると思います」

そんな江澤は、2023年4月に結成されたCAS(※)のメンバーのひとりでもあります。

 

※ CAS:“CRESCO A STARS”の略。「最高の技術・スキル」でクレスコを代表する社員を会社が認定する制度。認定された社員は、会社の持続的な成長に向け、社員・会社・ビジネスに影響を与える役割を担う

「CASの活動としては、社外コミュニティの運営や研究会の運営委員、ワーキンググループの幹事などをしています。

 

こうした活動は、CASになる前からやっていました。それまでは個人的な活動としてやっていたものが、CASができたことで、あらためて『会社の名前を出してオフィシャルでやっていいよ、むしろどんどんやってくれ』と後押ししてもらえるようになったので、私にとってはとてもありがたい制度です」

こうした社外活動を始めたきっかけは、自己研鑽だったと江澤は振り返ります。

「当社のビジネスは幅広く、どんな分野の技術者でも必要とされるスキルは全社研修が開催されていますが、個別の技術や新技術は自分でスキルを取りに行く必要があります。

 

私は社外の勉強会で情報収集する方法をとっていました。その中で、私も勉強会で登壇することにチャレンジしました。アウトプットすることで身につくし、登壇するからには必死で勉強するしかないじゃないですか(笑)。そうして知識もついていったし、技術者の輪も広がっていきましたね」

リーダー、研究職、営業……。「やりたいことをやらせてくれた」

▲2016年、人材業界向けのAI活用案件で社長賞を受賞

 

大学で情報システム工学を専攻していた江澤。最初に就職したのは200人規模のソフトハウスでした。

「企業向けのポータルサイトなどの開発をしていました。当時としては新しかったJavaScriptなどを扱うことができて楽しかったのですが、お客様のニーズを聞いて希望を満たすこと自体がおもしろく、よりお客様に近いところで開発がしたいと転職活動を始めました」

その中で、社員教育への姿勢や面接の雰囲気でクレスコへの入社を決意。入社後最初に担当したのは、運輸業界向けの事務管理の海外移管案件で、リーダーとして参画しました。

「納期や予算、海外とのやり取りなど、制約事項がたくさんある中で、お客様のやりたいことをどう実現していくかを日々考えていました。

 

問題もたくさん出てきて各部署のエースの方々に助けてもらったのですが、他部署のすごい人たちを知ることができて、後の財産にもなりました。いろいろとエキサイティングな案件でしたが(笑)、前職では経験できなかったことばかりで、入社して良かったと思いましたね」

その後、2013年には技術研究所に、2014年には営業に異動しました。

「技術研究所には公募で異動しました。当時の技術研究所長が社内勉強会に対して熱心だったことや、よりお客様のビジネスに直結する業務ができると思ったからです。

 

異動後は、現在も販売しているデジタルソリューション“Creage”が立ち上がったばかりで、ブランドとして根付かせる活動をしました。Creageがお客様にどう貢献できるか、いろんな部署やお客様と話をすることで会社全体を俯瞰する視点が得られましたし、視座も高くなったと思います。

 

当時技術研究所は任期が1年だったので、次は『よりお客様が求めていることに貢献したい』と営業に異動させてもらいました」

営業に異動後は、AIやRPA、コミュニケーションロボットの分野を中心に活動しました。

「お客様の課題を聞いて、『この課題であれば、ここにRPAを入れれば解決できるのでは』などのご提案を重ねるうちに、『技術を導入した後にお客様のビジネスとして成立するのか』というところまで見るようになりました。

 

ただ、新しい技術を担当していたこともあり、営業をしながらその技術の変化のスピードに追い付くことが難しいと感じるようになりました。『自分も技術に触れていたい』。そう思って、技術部門でコンサルタントとしての役回りをしたいと希望し、異動させてもらいました。振り返るとやりたいことをやらせてくれたなと、つくづく思いますね」

やりがいは、達成感と成長

▲2023年9月に登壇したラスベガスのイベントにて

 

2018年からは技術部門に戻り、コンサルタントとして提案、技術検証、導入支援などを実施している江澤。数々の案件に携わってきた江澤ですが、とくに思い入れのある案件は2つあると言います。

「ひとつは鉄道業界のお客様向けにAIを導入する案件です。鉄道会社は安全第一ですが、それゆえに業務量が非常に多いことが課題でした。試行錯誤を重ねた結果、安全性を損なわずにAIで一部の業務を代替し、業務負荷を6割ほど削減できました。

 

そのAIを導入して1年半くらいたった後、お客様からAIをアップデートしたいというご相談をいただいたんです。そのときに、『もうAIなしでは仕事がまわらない。すごく助かっています』と言っていただけました。納品後にフィードバックをいただく機会はあまり多くないので、本当に嬉しかったですね」

この実績は先進的な事例として、国内では鉄道関連の学会でお客様と一緒に論文発表したり、国外ではラスベガスで行われたITイベントで登壇するなど、社外活動にもつながりました。

「もうひとつの印象的な案件は、現在も続いている不動産業界向けのチャットボット開発案件です。賃貸住宅のオーナー様向けに、24時間問合せ受付ができるようにしたいと、数年前から案件がスタートしました。

 

家に関する問い合わせはとても多くのパターンがあります。お客様と一緒に回答シナリオを作ったり、チャットボットを社内業務にも展開したり、チャットボットを使ってもらうための工夫を考えたり……。“One Team”で進めることができています」

社内外で幅広く活躍する江澤ですが、大切にしている価値観があります。

「私は達成感を求めるタイプです。開発して納品して終わりではなく、『お客様のビジネスにどう貢献できたのか?共に仕事をしたプロジェクトメンバーの成長にどう役立ったのか?』といった、関わった案件の成果がとても気になります。だからどんな仕事でも『これはなんの役に立つのか』を無意識に考えている気がします。

 

あと、自分自身の成長に貪欲ですね(笑)。その時々では意識していませんでしたが、いま振り返ると、新しいものを知ることができるとか、できるようになるとか、そういうフィールドばかり選んでいたなと感じます」

お客様とともに、小さなことでも技術を使って解決していきたい

▲AI関連の社外勉強会にて

 

江澤は、AIをどのように活用すればいいかわからない人たちのサポートを引き続きしていきたいと意気込みます。

「AIに限らず、課題に対して技術がどう貢献できるかということを常に気にしています。たとえ小さなことでも、技術を使って解決できるならチャレンジしていきたいし、いろんな方と解決方法を一緒に考えていきたいです。クレスコ社員だからというよりかは、いちエンジニアとしてやりたいことですね。

 

社外活動も引き続きやっていきます。よく、『なんでそんなにやるの?』と聞かれるのですが、答えはないんです。『こういうものだ』と思ってやっています」

昨今注目されている生成系AIを活用した取り組みについても、興味を持って情報収集しています。

「いろんなところでいろんなことが試されているので、純粋に楽しいです。国際的な調査会社のデータによると、生成系AIは期待されすぎている状態で、今後は熱がある程度冷めて、現実的なところに定着していく、ということでした。定着するまでの間に、どういう試行錯誤をして、どんな取り組みをしておくべきか。今はそんなことを考えるのがおもしろくて仕方がないです」

7人いるCASメンバーのうち、女性は江澤ただ1人。自身の後に続く女性の活躍にも期待していると言います。

「CASメンバーもそうですし、管理職にもまだ女性が少ないと感じています。なので、技術職としてキャリアを積んでいきたいという方のロールモデルになれたらいいなと思っています。それを目指す方をフォローしていきたいですね。

 

また、AIや社外での活動に興味があるという方は性別問わずサポートしていきたいというか、一緒に取り組みたいです!」

やりたいことに対して実直に、貪欲に活動してきた江澤。これからも技術に触れながら、そして多くの人と関わりながら、想い描く道を進んでいきます。

 

※ 記載内容は2023年8月時点のものです