2021年にクレスコの子会社に入社し、一貫して車載システムの開発に携わり、技術力を日々磨き続ける石坪 支帆(イシツボ シホ)。2024年の会社の事業譲渡を経て、現在は名古屋開発センター第二部で活躍しています。「お客さまから信頼されるエンジニア」を目指し、強い向上心のもと、貪欲に学び続けてきた彼女が、学ぶことの重要性や楽しさについて語ります。

セキュリティ開発で、自動車の安全性能の要を担う

▲名古屋開発センター第二部 石坪 支帆(イシツボ シホ) 

 

石坪は現在、大手メーカー向けの車載システムの開発に従事しています。

「現在は、車載システムの中でもセキュリティに関する機能の開発を担当しています。車載システム自体は以前から携わっていましたが、セキュリティ関連の開発は初めてなので、本やネットで調べたり、周りに聞いたりしながら進めています。」

チーム内では特定の機能開発についての取りまとめ役も担っています。

石坪:「全員で8名のチームの中で、私ともう1人のメンバーが、暗号化機能とそれに対応する鍵を管理する機能を担当しています。メンバーをサポートしながら、チームリーダーに進捗報告を行うのも私の役割です。」

社内で行われる勉強会にも積極的に参加しています。

石坪:「スキル向上勉強会という、チーム内で開催している勉強会に参加しています。若手を中心に、興味があれば誰でも参加できる勉強会で、週1回、お昼休み後に30分の枠を取って開催しています。

 

テーマはまちまちで、セキュリティやハードウェアなどの技術面だったり、お客さまの事業内容について学ぶという回もあったりします。任意参加ですが毎回20人くらい集まるので、社内での注目度は高いほうだと思います。」

毎回異なるテーマで行われ、そのテーマに詳しい人が説明を行うスキル向上勉強会。石坪はセキュリティの基礎知識の回で説明を担当しました。

石坪:「文字だらけの資料にならないよう、図解を取り入れるなどして、セキュリティに詳しくない人にもわかりやすいように工夫しました。私もまだまだセキュリティについて学んでいる最中なので、結構プレッシャーはありました。でも、これまで学んできたことの覚え直しと同時に、新しい知識を吸収する意味で、非常に役立ちました。

 

セキュリティシステムの根本は基本的な処理に基づいたものなので、土台としての基礎知識が大切なのですが、業務で使う知識は時間の制約もあり、断片的なインプットになりがちでした。そのようにおざなりになっていた基礎知識を、この勉強会を通してかなり身に付けられたように思います。」

組み込み技術への興味がきっかけで車載システムの世界へ

▲大学の卒業式にて(石坪は写真右)

大学ではデータ工学を専攻していました。

石坪:「もともとビッグデータに興味があったので、より深く学び研究したいと思い、データ工学を専攻しました。大学では、主にSNSの位置情報をもとにしたサービスにつき研究していました。特に力を入れていたのがランニングルートを提案するサービスです。SNS投稿の大半には、位置情報が付与されています。それらの情報をもとに、良い景色や人が多く訪れるなどを考慮したランニングルートを提案するツールを研究していました。」

就職活動では、それまでの研究とは異なる分野に興味を惹かれます。

石坪:「大学時代には、車載の組み込み技術についても少し触れていました。ソフトウェアだけでなく、ハードウェアと組み合わせて考えなければならない点がとりわけ面白いと感じていましたし、将来的な成長性も魅力的で、もう少し深く関わってみたいと思うようになりました。

 

中でも車載システム業界は、自動運転技術などの進歩もあり、すごく成長しているイメージがありました。JSD(※)に入社したのは、車載と組み込みの両方に強みを持っていたからです。」

※JSD:日本ソフトウェアデザイン株式会社。クレスコ子会社で、2024年クレスコに事業譲渡。

JSDでは、車載カメラやブレーキシステムの開発に携わります。

石坪:「車載カメラの案件では、仕様書をもとにテスト手順を作成する業務を担当していました。半年間経験し、上司に「そろそろプログラミングをしたいです」と希望を伝えたところ、次のブレーキシステムの開発案件で、その希望が叶いました。

 

具体的には、CAN(※)という通信プロトコルを用いてデータをやり取りする機能のプログラミングを担当しました。それまでの案件と異なり、自分で書いたプログラムで実際に機械を動かすところまで担当できたのは、この時が初めてです。意図通りに機械が動いてくれたのを確認できた時はとても爽快で、やりがいを実感できました。」

※CAN:自動車などの機械の内部で、電子回路や各装置を横断的に接続するための通信規格の一つ。

学んで、実践して、人に教えることで、知識が自分のものになる

▲事業所の仲間との1枚(石坪は写真中央)

 

JSD時代を含め、これまでに3つの案件を経験している石坪。新しい案件に移ってからも、経験の積み重ねを実感しています。

石坪:「今携わっているセキュリティシステム開発は、簡単にいえば外部から悪質な通信が入ってこないようにするための対策です。通信の要素がとても多いので、一つ前の案件で学んだCANの知識が役立っています。

 

私が担当する開発で直接的にCANを使うわけではないのですが、例えばCANで通信を送った後にセキュリティがどう動くか、というテストが行われています。CANを全く知らないメンバーに対して、データの見方などを教えることができました。」

業務で得た経験は、日常生活の中にも役立っていると言います。

石坪:「ブレーキシステムの開発に従事した際、行き当たりばったりで取り組むと、足りない情報を問い合わせるタイムロスが発生し、作業がスムーズに進まなくなるということがありました。その反省から、先にシミュレーションをし、必要となる情報を集めてから動くようになりました。すると、見積もりも立てやすくなり、行き詰まりも減ったんです。そのような意識が芽生えてからは、日常生活でも予定を明確に立てるようになりましたし、1人暮らしでの家事も順序立てて行えるようになったと思います。」

会社の事業譲渡により、クレスコ社員となった石坪。業務や環境の面で変化はあったのでしょうか。

石坪:「私の場合、転籍の前後で案件が変わらなかったこともあり、業務面ではそれほど大きな変化はありませんでした。しかし、クレスコ社員になることによって、より幅広い技術に触れられるようになったのがうれしかったです。というのも、転籍前はC言語をメインに使用していたのですが、また別にハードウェア関連への知識欲があったからです。クレスコは「最高の技術を発揮する会社」という“クレスコ憲章”を掲げていますが、その通り、社員一人一人の技術力を引き上げるための取り組みが多く、自身のモチベーションも上がるのが魅力です。」

卓球大会で優勝!気さくな仲間と過ごす名古屋開発センターでの日々

▲ダブルスの部で優勝した卓球大会(石坪は前列左から5人目)

所属する名古屋開発センターの雰囲気について聞きました。

石坪:「他のオフィスと比べたことはないのですが、名古屋開発センターは気さくな方が多いと思います。仕事上であまり関わりのない人とでも、気軽に話せる雰囲気がありますね。全然違う案件の人とも一緒にランチに行ったりすることもあり、社員同士の交流が盛んだと思います。

 

オフィスにはとても広いリフレッシュルームがあり、いろんなイベントも行われています。特に人気なのが、毎月開催されている卓球大会です。大会に参加しない人も飲み物を飲みながら応援したりして、とても盛り上がっています。ちなみに私は、ダブルスの部で優勝したことがあります(笑)。」

居心地のよい職場で充実した日々を送る石坪。仕事において大切にしているのは、疑問点をそのままにしておかないことだと言います。

石坪:「疑問点や違和感があったときは、自分で調べるなり、先輩に聞くなりして、なるべくその場で解決するようにしています。後回しにするとろくなことが起こらないということは、若手の頃に散々学びました(笑)。若手の頃は、「何が分からないのかすら、分からない」状態だったので、疑問点をすぐに調べたり、質問したりできるようになったのは、ある意味自身の成長を実感できる点でもあります。」

車載システムでの経験をより深めるためにも、新たな分野も学びたいと言います。

石坪:「先ほどお話ししたように、ハードウェアについてもっと知りたいです。ハードを学ぶことで、車載システムについての理解がより深まると思うからです。車載システムについて総合的な知見を高めて、お客さまから信頼されるエンジニアになることが、当面の目標です。」

車社会と言われる名古屋において、安全で快適な自動車づくりに携わることは、人々の日常生活の一部を支えているという意味でも、非常に大きなやりがいがあると語る石坪。車載システムのエキスパートと呼ばれる日を目指して、彼女の挑戦はまだまだ続きます。

※ 記載内容は2024年9月時点のものです。