モビリティDXビジネス本部第一部の部長を務める吉田 悦子。大学では学ぶ機会のなかったITの世界に飛び込み、持ち前のパワフルで明るいキャラクターとコミュニケーションスキルで技術力を一から身に着けるとともに、キャリアを積む中でマネジメント力も磨いてきました。さまざまな案件の中で酸いも甘いも経験してきた彼女が、これまでを振り返るとともに、仕事において大切にしている価値観について語ります。

▲2016年から毎年開催しているプロジェクト飲み会合宿
吉田は現在、車載ソフトウェアの開発案件に携わっています。
吉田:「“IVI(In-vehicle Infotainment)”と呼ばれる、車の中で情報と娯楽の提供を担うシステムや、車載メーターソフトなどの開発を行っています。」
2024年から、モビリティDXビジネス本部第一部の部長として、20数名のメンバーを率いる立場ですが、それ以前と何が変わったのでしょうか。
吉田:「部長になってから一番変化を感じているのは、お客さまとの関係性です。『仕事をもらっている』感覚から、少しずつ変わってきたと思います。というのも、私の立場が案件のマネージャーから部長に変わったことで、お客さまとお話しする機会自体も増えましたし、裁量が大きくなった分、今まで以上に先を見据えた話がしやすくなりました。私のほうからも素直に相談できるようになり、以前よりも、お客さまと対等に話せるようになったと感じています。
一方、マネジメント面は、まだ手探り状態というのが正直なところです。マネージャーとして案件を率いることは経験してきましたが、部署の長を務めるのは今回が初めてで。メンバーの業務にどれくらい介入してよいものなのかなど、試行錯誤の毎日です。」
吉田には、メンバーマネジメントにおいて意識している点があると言います。
吉田:「何か業務をお願いする時は、メンバー自身にも先が見えて動きやすいように、なるべく長いスパンで指示を出すようにしています。半日や1日などの短い納期でタスクを送り続ける形だと、いずれ私からの指示追いつかなくなったり、忘れてしまったりすることもありますし、何より、『先が見えない』というのは大きなストレスだと思うんです。
ですので、初めにタスクの全体量を伝えたら、その先の業務設計は各メンバーに任せるようにしています。メンバーそれぞれ、自分で自分の仕事をしっかり進めていける人たちですし、先が見えない中で毎日マックスまで働き続けるよりも、自分に合った仕事の消化ペースで業務にあたるほうが、パフォーマンスが上がりますし、気持ちよく働いてもらえると思っています。」

▲地方拠点にて、クレスコメンバーやお客さまとスノボ
大学では経済学部だった吉田ですが、就職では別の道を選択しました。
吉田:「残念ながら経済学には興味を持つことができなかったので、学部とは関係ない業界で就職活動をしていました。その中で、間口が広そうという理由から、それまで全く接点のなかったIT業界に興味を持ちました。
クレスコを初めて知ったのは、ビッグサイトで行われた就活イベントでした。たいていの会社が自社の強みや開発実績の話をしている中、クレスコだけは案件の失敗談などを、笑いを交えてフランクに話してくれて、『お、何か楽しそうだぞ』と感じたのがきっかけです。東証一部上場企業(当時)だということを内定後に初めて知ったくらい、何の下調べもしない中で入社を決めました(笑)。」
大学ではパワポ程度しかいじることができなかったという吉田。入社直後は文字通り、右も左もわからない状態だったと言います。
吉田:「最初に配属されたのはカーオーディオの開発案件で、割と早い段階から開発に参加させてもらったものの、いろいろ説明を聞いてもさっぱりわからない状態で。上司や先輩はもちろん、お客さまからも『吉田さん、わかってなさそうだから教えてあげるよ』と言われる始末でしたね。よほど困った顔をしていたのかもしれません(笑)。私としては失うものもなかったので、ありがたく聞きまくりましたね」
持ち前の明るいキャラクターも手伝い、周りから多くの学びを得ていった吉田。サブリーダー、リーダーを経たあと、転勤や海外出張などを経験します。
吉田:「開発メンバーとして、地方拠点にあるお客さまの業務の中で、海外メーカー向けの案件に携わることになりました。当時、リーダー業務があまりしっくりこないと感じていたので、心機一転、やってやろうという気持ちでした。
2年ほど勤務したあと、そのメーカーの支社があるドイツへ2カ月間の出張も経験しました。その後東京へ戻り、リーダー、案件のマネージャーを経て現在に至ります。」

▲ドイツ滞在時、仕事終わりの公園ビアガーデンにて
地方拠点での案件は、吉田にとって大きな転換点となりました。
吉田:「海外メーカー向けの案件ということもあり、それまでとは働き方が大きく異なりました。例えば業務が追いついていないとき、お客さま先では勝手に残業することは許されませんでした。
勤務時間内に終わらせることが前提で、間に合わなければ翌日以降で挽回するか、どうしても間に合わないのであれば、そのタスクを次のリリースに回してもらうなどの交渉をすることが約束でした。仕事が終わらないなら遅くまで頑張ってこなすのが当たり前だと思っていた私にとって、真逆の環境になったので、働き方を見つめ直す大きなきっかけになりました。」
地方拠点では、社員同士の関係性構築にも一役買いました。
吉田:「実は、転勤を打診された時、先に赴任していたメンバーたちのコミュニケーションを活性化させるという“裏ミッション”もあったんです。自身の社宅がとても広かったので、月に1回ほどみんなで食材を持ち寄って集まっていました。
また、社員のみならず、お客さまや、クレスコとともに案件に入っている競合企業の社員などとも会を開いていましたね(笑)。私は仕事をする前からずっとみんなと集まるのが好きなので、楽しかったですね。だいぶメンバー同士のコミュニケーションは活発になったと思うので、ミッションを達成できたのではないでしょうか。」
ドイツへの出張も、強く印象に残っていると言います。
吉田:「私が滞在していたのが、ちょうど日本でいう春先みたいな時季でした。ドイツの人たちもこの季節が好きみたいで、定時になるとすぐに会社を出て、近くの公園にあるビアガーデンで毎日飲んでいましたね(笑)。
英語に全く自信がなかったので出張前は不安でしたが、毎日一緒に飲んでいるうちに、コミュニケーションも問題なく取れるようになっていきました。現地に赴任されていた日本の方からも、『モジモジしていると、何を考えているかわからない不審な人に見られてしまうから、とりあえず何か話すことが大事』だと教わりましたが、本当にその通りだと思います。」

▲モビリティDXビジネス本部第一部 吉田 悦子(ヨシダ エツコ)
吉田には、仕事において大切にしていることがあります。
吉田:「物事を見るときは、自分と相手、両方の視点をもつことを忘れないようにしています。自分からはこう見えているけど、相手からはどう見えているんだろうとか、自分はこういうつもりで言ったけど、相手はどう受け取っただろうとか。
文章でも会話でも、事実の部分と解釈の部分があると思っていて、書き手なら読み手側の、聞き手なら話者側の気持ちをイメージしないと、大事なことは伝わらないと思うんです。円滑な人間関係を築くためにも、相手の視点をもつことは重要だと思います。」
最近の若手メンバーは優秀だと言う吉田。一方、気がかりな点もあると言います。
吉田:「私の周りにいる若いメンバーは、みんな真面目で素直です。お願いしたことはちゃんとやってくれるし、仕事もどんどん吸収して成長しています。ただ、『どういう状態が自分にとって理想なの?』と聞いても、すぐに答えが返ってこないことが多いんです。
『将来どうなりたいかが決められない』というのはわかるんです。私自身もそうでしたし。でも、どういう時が最もパフォーマンスを発揮できるとか、楽しいと感じられるとか、そのあたりはぜひ見つけてほしいなと思いますね。その状態になるためのサポートは、一切惜しまないので!」
周りの人が幸せを感じられるようにすることが、吉田の究極の目標です。
吉田:「結局のところ、仕事は楽しければ何でもいい、というのが私の考えなので、管理職にあがる際に掲げたビジョンも、『関わるみんなの幸福を最大化する』というものでした。社員やお客さま、協力会社、エンドユーザー、そしてもちろん自分も含め、誰も置いてきぼりにならず、みんなが『いい感じ』になれるようにすることが、私の最大のミッションです。」
自分自身の今後のキャリアについては、一切こだわりがないという吉田。その視線は常に、周りのメンバーやお客さま、そしてエンドユーザーに向けられています。
※ 記載内容は2025年4月時点のものです。